防音設計の学び方と業界現状

いつのまにか、マンションや木造防音室の防音設計ができるエンジニアが建築業界では非常に少なくなり、約20年間で様変わりしました。

私が初めて防音設計を勉強し始めたのは約26年前ですが、そのころは会社勤めで、建設省や住都公団(現在の都市再生機構)の担当業務が多かったので大半が、その関係の技術資料を中心に読んでいました。

ところが、どうしても実例の効果を分析した資料が少なく、仕方なく自力で自宅マンションを実験的に防音施工をして効果の経年変化を体感しました。普通の専門業者なら実験室や担当現場で精密測定をして確かめることが出来るのでしょうが、私の場合はお金も、代行してくれる取引先もなかったので、自宅を実験台にしました。

この経験は、現在の設計仕様に大きく影響を与えることになり、取引先に精密測定を外注することと併せて、経験値のストックを重視することになりました。これが机上の理論を補正する根拠になりました。

防音効果は製品の試験データだけでは予測できないことが多々あり、現場で効果を体感したり、測定するしか設計仕様をレベルアップさせる方法がないと確信しました。

26年間の経験値と担当現場の分析を積み上げて確立したのが、自分の防音設計技術です。現役のエンジニアは、東京でさえ、ごくわずかしか居ないのです。コンクリート構造の防音スタジオや音楽ホールを設計施工する専門業者が多いというのが業界の実情です。

普通の木造防音室やマンションの生活防音は難易度が高い割に利益が少ないため、大手企業は特に積極的に受注しようとはしないのです。大手企業や大手の防音室メーカーの失敗事例が多いのは、彼らの技術力のレベルをそのまま示していると言えるでしょう。

要するに経験値やノウハウがストックされていない、ろくなエンジニアが居ないことを証明しています。新しい技術が開発されていないのだと思います。

木造防音の最新技術を追求する

木造住宅と木造防音室の防音設計の最新技術は音の制振・絶縁・減衰機能を高める仕様・構造を構築することを目的としています。 業界では素材・構造体の周波数特性とともに軽視されていた分野です。 特に木造に適した薄い防音対策を追求してきた事例や方法論について考察します。

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